季節を先取り、涼を誘う扇子に現れる京の心

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アナウンサー、テレビ番組プロデューサーなどを
経て、集英社「エクラ」などのライターに。
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季節を先取り、涼を誘う扇子に現れる京の心

 

本格的な暑さが、京の町にも訪れました。周囲を山に囲まれた盆地の京都の夏の暑さは、風も少なめで、体に、まとわりつくようなじっとりした感じがします。そんな暑さに馴れている京都の人たちの暑さ対策のひとつが、扇子です。夏の外出の必需品で、男女を問わず、手には扇子。「あつおうすなぁ~」と言いながら、扇子でパタパタと仰ぐ姿は、夏の京都らしい情景です。

 

さて、京の女性たちにとって、手元で揺れる扇子は、持つ人のセンスを示す重要な小物。風が起こればいいというだけで選ぶものではないようです。

扇子

「柿渋の扇子」3,675円「ナデシコの扇子」3,240円(税込)


扇子のニーズの多い京都には、昔から扇子の専門店が多数あり、お抱えの扇絵師が腕を競い、毎年、新たな意匠を発表してゆきました。友禅の創始者と言われる宮崎友禅斎も、元禄時代に活躍した扇絵師のひとりです。

 

扇子の面は、大きく分けると、布製と紙製の2種類があります。布製は、薄い布を、扇子の骨に貼りつけたもので、布を貼った表側と、骨が見える裏側があります。京都で、好まれるのは、実は、紙製で、骨を軸に表と裏から紙が挟むため、仰いでも、扇子の骨が見えることがありません。しかも、表と裏の色合いやデザインを微妙に変えたものも多く、1つの扇子で、異なった趣を楽しむこともできるのです。また、大きさも男物は扇面が、女物よりひとまわり大きくなっています。

 

京都の花街のひとつ宮川町の元お茶屋に店を構える「扇や 半げしょう」は、明治の頃から、主に扇面の絵を描いてきたという職人さんのお店。現在は、自社工房でさまざまな種類の扇、扇子が作られています。「かつては、和服に合うように、着物の図柄を題材にしたものや、俳句の季語をテーマにしたデザインのものが多かったんですが、最近は、洋装でもマッチするモダンなデザインも多くなってきました。また、最近は、大振りのものを好まれる女性が増えました」と、店長の吉尾佳世子さん。扇子にもユニセックスの流れがあるようです。

 

吉尾さんに素敵な扇子の選び方を伺うと、「初夏と晩夏で持つ扇子を変えるのがおしゃれですね。初夏は、涼しげな淡い色合いのもの。そして晩夏は、秋の草や月の図柄や、濃い色のものなど、秋を感じさせる扇子を持つんです」と。着物同様、季節を先取りするのが、京都の扇子のオシャレ。

 

また、扇子の持ち方も、全部開くのではなく、幾分閉じ気味にすると艶めいて見えるそう。もちろん、パタパタと勢いよく仰ぐより、優雅にゆったりと動かすのが、より女らしい仕草です。「紙製の扇子は、薄い布製よりも、風を通さないので、風を多く起こすことができ、涼しいんですよ」と。胸元で、静かに仰ぐだけでも、顔には、風が届きます。

 

洋装でも、和装でも、扇子の使い方は、さりげなく口元を隠したり、強い日差しを避けるために、額近くにかざしたり…。扇子の扱い方ひとつで、女っぷりは上るもの。この夏、美しい扇子を持ち、優雅に仰ぐ京おんなに近づきたいものです。

 

 

扇や 半げしょう

京都市東山区新宮川町松原下ル西御門町440-13 ☎075-525-6210

 

 

小原誉子

ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」 

 

 

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第9回
季節を先取り、涼を誘う扇子に現れる京の心

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